頭の使い方を変えればストレスはなくなる?
意味づけを変えればストレスが無くなる
内閣府の統計によると、日本人の半分以上がストレスを抱えているといわれています。「どちらともいえない」人を合わせれば、8割を超えていましたが、実際は、「日によって、ストレスを感じることがある。」人が多いのではないでしょうか?
現在社会は情報が増えすぎ、年々、人間関係も難しくなっています。「ストレス社会」だといわれていますが、慢性化すると鬱になったり、自律神経に悪影響を様々な病気を引き起こすこともあります。
誰でも、嫌な感情を感じたいなんて思っていないはず。ところが、考えれば考えるほど嫌な感情が膨らむのがストレス。
今までも、色んな人がストレスを発散する方法を発表されていますが、大事なことは、ストレスを受けないようにすることかもしれません。
今回の記事では、ストレスを受けない秘密と慢性化させない方法についてお伝えします。ぜひご参考にしてください。
ストレスって何
ストレスを感じることは、生きる上で必要だといわれています。人は適度の刺激を受けることで活性力を生むように出来ているからです。ストレスを感じるとアドレナリンが放出され、スポーツでも集中力を生んだり、勉強や仕事でも努力や積極性を出すことが可能になり、最終的に良い結果につながります。
ところが、本来、人の活性力を生むストレスが過剰にかかってしまうと、恐怖や緊張などが生まれ心身に悪影響を及ぼします。
慢性化するとうつ病を発症したり、急激に強いストレスによって身体の異常や病気になることも。
ですから、ストレスがまったくないということは良くありませんが、適度にストレスをもつことは、良いことなのです。
慢性化するとこんな症状に
ストレスが慢性化すると、うつ状態を感じます。たとえば、こんな状態。
厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサポート」
- 気分の落ち込み、憂うつな気分
- 趣味などが楽しめない
- 体重の減少または増加、食欲の減少または増加
- 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、どれだけ寝ても眠気がとれない
- 気持ちが焦るイライラしやすい
- 疲れやすい
- 価値のない人間だと思う、周りに対して申し訳なく思う
思考力や集中力が低下する、決断が難しい- いっそのこと消えてなくなりたいと思う
心身症とは
ストレスを解消することが出来ず、慢性化するとうつ病になるかもしれません。それだけではなく、健康面でも異常をきたし様々な病気になることがあります。ストレス関連の病気を心身症といいます。
表1 ストレス関連疾患(心身症)
部位 主な症状 呼吸器系 気管支喘息,過喚起症候群 循環器系 本態性高血圧症,冠動脈疾患(狭心症,心筋梗塞) 消化器系 胃・十二指腸潰瘍,過敏性腸症候群,潰瘍性大腸炎,心因性嘔吐 内分泌・代謝系 単純性肥満症,糖尿病 神経・筋肉系 筋収縮性頭痛,痙性斜頚,書痙 皮膚科領域 慢性蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,円形脱毛症 整形外科領域 慢性関節リウマチ,腰痛症 泌尿・生殖器系 夜尿症,心因性インポテンス 眼科領域 眼精疲労,本態性眼瞼痙攣 耳鼻咽喉科領域 メニエール病 歯科・口腔外科領域 顎関節症 「日本心身医学会教育研修委員会編1991心身医学の新しい診療指針,心身医学,31(7),p57をもとに作成」
感情を感じる仕組み
ストレスは感情を感じることから生じます。嫌な感情を感じるとストレスになりますが、良い感情を感じてもストレスに感じるどころか、気分良くなります。
また、同じ経験をしてもストレスを感じる人とストレスに感じない人がいます。これは、どうしてだと思いますか?
これは、脳科学を学ぶことで説明できます。
人の脳に記憶されていることは、一人一人違います。経験したこと、学んだこと、価値観、アイデンティティなどが人によって異なります。
Aさんにとっては、「正しい」と思えることでも、Bさんにとっては、「間違ってる」と捉えるかもしれません。このような場合、Aさんは自然に受け入れることができても、Bさんにとっては、受け入れることが障害になりストレスとなります。
こんなこともあります。Aさんには、「できる」と信じていることでも、Bさんには「出来ない」と思っているかもしれません。そのような場合、「同じことをやってください。」と命令されると、Aさんにとっては得意なことなので、嬉しく思うかもしれませんが、Bさんにとっては苦痛に感じ、それがストレスとなります。
このように、一人一人の脳は個性を持っています。だから、反応する条件も違ってくるのです。
たとえば、動物が好きな人であれば、犬を見ても「可愛い」と思うだけなのですが、動物が苦手な人の場合、子犬が近寄ってきただけでもパニックになるのです。
同じことが会社や家庭でもおきます。たとえば、嫌いな上司の顔が見えただけでも、脳がパニックになり心臓がバクバクし、冷や汗が垂れることに。
これが家庭では。大嫌いな主人が帰宅すると、それまで子どもと穏やかな生活を送っていたことが嘘のように。妻の脳はパニックになり、顔が引きつり、呼吸が短くなり、言葉も荒く。
このように、人はそれぞれの持つ脳の個性によって、ストレッサ―も異なり、そのストレッサ―を見たり思い出すだけで、条件反射するのです。
反対に自分にとって都合の良いことにも、条件反射するのが脳なのです。甘いものが大好きな人に、「ケーキを買ってきてあげようか?」と言うと、どんな顔をするでしょう?ほとんどが笑顔になるのでは。
脳の意味づけを変えれば、反応も変わる
先ほど、嫌いな上司の顔を見れば、「嫌な気持ち」が条件反射的に出るという話をしました。それは、脳が「自分にとって上司は不都合」と解釈しているから。
もし、脳が「上司は自分にとって大切な人」勘違いしたら、どんな反応をするでしょう?その上司に会うことが楽しみに変わるかもしれません。
理屈は分かるけれど、そんなことなど出来ないと考えるかもしれません。でも、こんなふうに考えるとどうでしょう?
「私の成長にとって、時には厳しく指導する上司の存在は重要だ。この人の愛によって私は成長している。」毎日、自分に言い聞かせていたら、脳が勘違いするかもしれません。
どちらにしても、脳が考えていることは勘違いです。自分で正しいと信じているだけなのです。その証拠に、先ほどのAさんの脳は、「上司は良い人だ」と解釈しているのです。
嫌な感情を感じるときの心身の反応
ストレスによって嫌な感情を感じると、心身にも悪影響を与えます。具体的には…
フィジオロジー(身体)
体が前かがみ、視点は地面に、表情が暗く、動きが鈍く、心拍数が速くなり、脳内にフォーカスしているためボーとしているように見える。
ビリーフ
今まで以上に、ストレッサ―の存在を信じるようになる。
言葉
他人や自身に対しても、不満などのネガティブな言葉が多くなる。自分自身に話すネガティブ言語が、信念を強化する。
心身の状態を変えるとストレスが無くなる?
ストレスを感じると、フィジオロジー、ビリーフ、言語の3つが変わります。それも、どんどんと悪い方向へ…。
ここまで読まれたあなたは、不安になっているのではないでしょうか?ご心配ありません。フィジオロジー、ビリーフ、言語は変えることが出来るからです。
これらは、自分の脳が指令を出したことで作られているからです。顕在意識下のことなので、意識をすれば、変えることが可能なのです。
では、どのようにすれば良いのでしょう?
意識的に行なうこと
- 先ず、深呼吸をします。深呼吸をすれば、リラックスできます。
- 表情を明るくします。
- 運動をしてよく身体を動かします。
- 多くのことに感謝します。
- 見たり聞いたりしたことの意味づけを変えます。(いい気分になれるように意味づけする。)
- 言葉を変える。(いい気分になる言葉を発する)
意味づけを変えると、ストレスがストレスでなくなります。反対に良い緊張感を生み、集中力ややる気に変わります。
ストレス発散の方法
ストレスが出来ると、発散することが大切です。ネットでも、ストレス発散についての方法が沢山紹介されています。
ですが、勘違いしてはいけないのですが、人によって、解消法は違うということ。ある人にとっては、ストレス発散になっても、自分には当てはまらないかもしれないからです。
一般的には、映画、外食、旅行、寝る、ドライブ、運動、テレビ、デート、音楽、スポーツ観戦、喋る、アロマ、入浴、ツイッター、ライン、メール、読書などがありますが、この中に、やってみたいことはありますか?
ストレスを解消する方法
- 自身が楽しくなること
- ワクワクすること
- リラックスできること
- うれしくなること
「良い感情を得られることは何だろう?」と質問することで、効果的にストレスを発散する方法が見つかります。
最後に、
次のように考えることも大事なことです。
自分の人生に降りかかる障害で、乗り越えられないものはない。
この出来事は、自分を成長させてくれている。
他人は変えられない、でも、自分は変えられる。
自分のために変わるんだ。
もし、このストレスを乗り越えたら3年後、自分はどうなっているのだろう?
そして、「どんなことも時間が解決する。」ということを信じてください。
あせりが返ってストレスを作っているので、あせらずに気長に考えることも大切なことかもしれません。